オーストリアの音楽祭について

オーストリアの音楽祭について

芸術週間ばかりに捕われないで

芸術週間も確かに魅力溢れる音楽祭であるが、ウィーンで開かれているのは何もこれだけではない。その他にも多くのイベントが行われている、それこそ世界的にクラシックを少しでもかじっている人ともなれば知っていなければならない、また生涯において一度は観賞するに足るモノであると断言できる音楽祭は数多く存在している。世界としての尺度で考えた場合、オーストリアで開催されている音楽イベントは重要な地位を築き上げており、それはヨーロッパ圏内としてもだが、日本も含めた圏外のファン達ならば毎年足を運びたいと考えるほどに、充実した音楽祭が目白押しとなっている。ただ働きながらイベントに参加するのは少々難しいのは言うまでもない、どのイベントにも参加したいと考えている人もいるだろうが、そううまくは行かないだろう。よほど時間の都合に融通が効くといった人でもない限りは毎年同じ時期に休みを取ってオーストリアに訪れることは出来ないだろう。

だが年を置いて毎年この音楽祭を観覧したいという場合なら、楽しみが出来ると考えれば、また話は違ってくる。どの音楽祭を見ようかと迷ってしまうところだが、そもそもどんな音楽祭が開催されているのかについて、少し考察を加えながら話をしていこう。


ウィーンで開催されている音楽祭

ザルツブルク復活祭音楽祭

今回は春に開催されている音楽祭として、大体6月ごろまでに開催されているものに焦点を当てていく。まず最初に紹介するのはオーストリアのザルツブルクにて開催されている『ザルツブルク復活祭音楽祭』だ、名称が少し入り組んでいるためわかりにくいが、別称として『ザルツブルク・イースター音楽祭』と覚えた方がもしかしたら人によっては早いかもしれない。この音楽祭は1967年から開催されている。ザルツブルクにて開かれている有名な音楽祭で市の代名詞といえる。ザルツブルクの市そのものがユネスコの世界遺産に認定されている事もあって、美しい街並みの中に建造された『ザルツブルク祝祭大劇場』にて演目が全て開催されている。

こちらの音楽祭はキリストの復活に合わせて開催される音楽祭となっており、日本でいうところの春分の日以降の満月の後の最初の日曜日から大体10日前後で開催期間が定められている。この音楽祭で開かれるイベント内容の詳細にはオペラはもちろん、オーケストラコンサート、そして合唱付きのオーケストラコンサートを日程において実施されているが、このイベントではそこに注目するのではなく、演奏しているオーケストラを目当てにしている人が大半となっている。どういうことかというと、それは世界的に有名なオーケストラとしてその名を広めている『ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団』が指揮しているという点だ。これだけでかなりの集客率が望めることが伺える、どの公演にしても楽団の生演奏が聴けるとなれば何が何でも聴いてみたいと考えるのではないだろうか。

そんなベルリン・フィルハーモニー管弦楽団が演奏することになった2014年の注目公演として挙げられるのが、『リヒャルト・シュトラウス作曲のオペラ、アラベラ』だ。オーケストラの荘厳たる演奏によって響かせるオペラは見物だろう、機会に恵まれるのであれば一度は訪れてみたい音楽祭だ。

シューベルトの音楽だけを楽しむ音楽祭

著名な作曲家が多く存在している中で、特にこの作曲家の作品が好きという人も多いだろうモーツァルトやバッハ、ベートーヴェンなどと数えていたらそれこそキリがないといえる。この点については好みといえるが、このオーストリアで開催されている音楽祭の中にある作曲家だけの作品だけにフィーチャーした物がある。『シューベルティアーデ』と呼ばれるモノで、それは『フランツ・シューベルト』の楽曲に特化して演奏されることになる音楽祭だ。この音楽祭は元々、シューベルトが生前に友人や音楽ファンを自宅に招いてコンサートを毎回行い、そんな夜会をいつの日からか『シューベルティアーデ』と呼ばれるようになり、現在までに開催されている音楽祭の名称としても用いられることになる。

この音楽祭の特徴としては、オーケストラといえば協奏曲というのが固定的なイメージとして演奏されているものというのを考えている人は多いだろう。ところがシューベルトは生前において作曲した中で協奏曲はほとんど存在していないため、音楽祭といっても慎ましいものとなっている。かつてはシューベルト本人の自宅で開催されていた夜会とあって、だからこそ家庭的な印象を持たせているのが、シューベルティアーデの特徴でもある。

この音楽イベントにもやはり毎年著名な音楽家たちが集まって素晴らしい音楽を奏でるのはもちろん、その他にもそんな音楽家たちによる講習会なども開催されているため、音楽家が訪れるだけでも価値があるものとなっている。観光目的でこちらのイベントに参加するのはもちろんのこと、さらに音楽家たちもまた毎年この時期になるとこのシューベルティアーデに再度参加したいと考えるようになるといわれており、とても有名な音楽イベントとしてオーストリアの中でも代表的な音楽祭としてその名が知られている。

ピアノの魔術師と呼ばれた音楽家を讃えた音楽祭

シューベルティアーデというシューベルトという音楽家を尊敬の念をこめて開催されている音楽祭のほかにも、一人の音楽家に焦点を絞っている音楽祭はまだある。音楽史においてかつて神童とも呼ばれ、別名ピアノの魔術師などともその名を広めている『フランツ・リスト』の音楽を起点として開催されている『ライディングのリスト音楽祭』もまた、このオーストリアにおける有名な音楽祭として知られている。

この音楽祭はリストの生まれ故郷となっているオーストリアはブルゲンランド州にあるライディング村にて開催されており、まだ音楽祭そのものが出来上がってから数年足らずだが完成度の高いものとなっている。こちらの音楽祭は毎年3月下旬頃に4日程度開催され、その後6月に日を置いて約1週間で行われ、さらに10月には4日ほど期間で開催されている。


まだまだある音楽祭

今回は主に春に開催される音楽祭について話をしているが、中にはオフシーズンとなっている夏ごろに開催されるオペラだったり、コンサートだったりと存在しているので楽しみは事欠かない。音楽を楽しむとなったら日本で開催されている音楽祭も確かに完成度としては十分だが、やはり本場として名高く、そして世界的にも知られている音楽イベントを観覧する価値は十分にある。春頃に開催されている時期、それを見計らって豊かなクラシック音楽を楽しんでみるのも悪くはない。日本オリジナルの音楽を楽しむのも有りだが、教養としてクラシック音楽に触れてみるのも悪くはない。